Champian Fulton

Jazz Pianist and Vocalist

WBGO's Brian Delp Interiews Champian Fulton for Meet Me at Birdland (JAPANESE TRANSLATION)

On April 10 Champian Fulton was featured on WBGO celebrating her new record. The original english transcript is here: WBGO

ーーーいったんステージに上がったら「さぁ、やるわよ!」って感じにならなきゃね!ーーー

チャンピアン•フルトンが語るライブ パフォーマンスの歓び

Brian Delp: 僕がチャンピアン•フルトンに初めて会ったのは、何年も前、彼女が僕の故郷であるオクラホマシティのすぐ南にあるノーマンからニューヨークに到着した直後のことでした。 

その時、僕は彼女の素晴らしくスウィングするピアノに驚嘆しました。それ以降も、彼女のピアノ技法、そしてボーカルの感度は向上のみです。

この時点で、彼女は僕やほとんどの人々よりもはるかに多くの国々を見てきて、世界中のどこの聴衆でも楽しめるスイングと歌のメッセージを伝えてきています。

しかし、彼女はこの春の終わり頃にアメリカ、ニューヨークに帰ると、新しいアルバム『Meet Me At Birdland』がレコーディングされたまさにその場所でレコード発表記念コンサートを行います。

彼女がニューヨークに住みはじめて約20年になりますが、今日の僕とのこのインタビューでは、彼女は実際に彼女が頻繁に行っていること、つまり世界中をツアーしている最中です。まさにこの瞬間は素晴らしい街スペインのバルセロナにいて明日の夜のショーの準備をしているところす。 

ハイ、チャンピアン フルトン、WBGOスタジオへようこそ。

CF: こんにちはブライアン。 お会いできてうれしいです。 よんでくれてありがとう。

BD: どういたしまして。 

このスペインでの公演は多くの公演のうちのひとつですね。現在、どのくらいの期間ヨーロッパをツアー中ですか? 約一ヶ月?

CF: はい、約一ヶ月です。 実は2月10日にカナダでのツアーをはじめて、約2週間カナダにいました。 私は 2月23日にヨーロッパに来て3月26日までこちらにいます。

BD: スペイン、イタリア、フランスだけでなく、あなたは本当にあらゆる場所、オーストリアのグラーツ、ドイツ、デンマークにも行っていますね。 

ちなみに僕が育った場所から10マイルも離れていないオクラホマ州ノーマンで生まれ育った女性にとって、それはどのようなものでしょうか。 世界中をツアーするってどんな感じ?

CF: 私はとても好きで全てを楽しんでいます。 先日も10時間ほど車で移動しましたが、それでも大丈夫でした。 美しかったし。 私達はアルプスを通り山を通り抜けたんです。 

旅をし、演奏し、人に会って、色々な物事を見たりするのが大好きです。 諺にもあるように、「転がる石に苔むさず」です。

BD: とにかくどこにいても、いつでもあなたはピアノの前に座るとスイングする。そして僕はいつでもその信じられないスウィング感を今から聞くことができると分かっています。ヨーロッパの聴衆もきっと同じように感じているでしょう。今回のツアーでの聴衆の反応はどうですか?

CF: 本当に素晴らしかったです。 私が初めてヨーロッパを訪れてから、ほぼ10年以上が経ちます。 通常、毎年春と夏、そして時々秋にも来ます。常に満員で聴衆とはとても良い関係を築いてきたと思います。人々はとても温かく毎年同じ人が何回も何回も見に来てくれるのが嬉しです。

BD: あなたは常にFacebookページやその他ソーシャル メディアを最新状態に保っていますが、最近の若いアーティストにとって、それはどれくらい重要ですか?

CF: とても重要だと思います。 なぜなら私は自分がしている事を皆んなと共有したり、話したりするのが大好きなので大切な事なんです。音楽コミュニティとの関係はとても重要だと思うので、毎朝目が覚めたらメッセージやDMに返信するのに多くの時間を費やしています。

BD: 言い換えれば、あなたはファン達にとってパフォーマー、エンターテイナーとしてだけでなく、その友人でもあるわけですね。いつもあなたの全てを実際に聞いてくれる人々と、あなたは親密な関係を築いているようですね。

CF: そう思います。 そうだといいです。 

クラーク•テリーから聞いたんですけどルイ•アームストロングはファンレターに返信するのが好きだったそうです。クラーク•テリー自身も手紙や、はがきを書いたり旅先から人々に電話したりするのが大好きだったので、彼からもそういうのを学びました。もちろんその頃ソーシャルメディアはありませんでしたが、彼らは昔ながらの方法で人々と連絡を取り合っていました。私は彼らからそういうところを学んだのですが、元々、私自身もそういう事が好きだったし大切だと思います。

BD: それは心強いですね。何故かというと、あなたと同じくらいの年齢でソーシャル メディア、特に携帯電話、スマートフォンしか使わない人は人と距離をおく傾向があります。 それはおそらく、現在地球上のほぼすべての人が使うようになったこのコミュニケーションのやり方の主な欠点のひとつであると思います。しかしあなたは、この最新テクノロジーを非常に前向きな姿勢で使っていますね。

CF: それは私にとって手紙やハガキ、電話と同じ道具として使っているからです。 個人的には電話で話すのも好きなので、ビジネスやそれ以外でもメールやテキストだけでやり取りするのではなく、電話で話すようにもしています。私は利用可能なさまざまなテクノロジーを使ってコミュニケーション、連絡を取り合うことが好きなんです。

BD: それはとても健全な姿勢だと思います。 そして僕としても、もっと多くの人々がそうするべきだと思っています。

あなたが以前Facebookにポストしていましたが、もう電話しても電話にでる人は少なくなった。5分か10分くらい話をしたかったのに。。。っていう投稿を見ましたよ。 現実的に声を使って話したいようですね。

CF: 残念なことに、人々はもう電話で話すのをあまりしなくなっているんです。

私はニューヨークに引っ越して来た最初の週にフランク•ウェスと会った時のことを覚えています。 

私はフランクの電話番号をきいて、「時々電話してもいい?」って言ったんです。 すると彼は、「うん、電話してくれ」そんな感じでした。

私が彼に電話をかけ始めると、彼も私に一日おきくらいに電話してきて、「どうしてる?」「元気?学校はどんな感じ?」「いつ街の方に出て来るんだい?」

彼は定期的に友達に電話するのが好きだったので、私たちは毎回5分ほど話しました。 そして私もそういうのが好きなんです。

私の大きな喜びのひとつはフランク•ウェスと彼の奥さんに色々な場所で出会ってしまう事でした。どこに行っても、彼がたとえプレーしていない時でも、色々なクラブに彼は奥さんと一緒に遊びに来ていました。

フランクは出歩くのが大好きでした。 ショーを見に行ったり夕食や他の人が演奏している小さな店とかに行くのも大好きで、私はそんな彼らのことが大好きでした。

BD: あなたの新しいアルバムについての話に移りましょう。

これは僕が思うに、あなたの本拠地での実際のライブ演奏をそのまま録音したもので、まさにタイトルどうり「バードランドで会いましょう(Meet Me at Birdland)」ですね。

またあなたと僕が頻繁に会う場所もこのバードランドですね。

CF: バードランドは本当に長い間、私のニューヨークの本拠地です。私は2003年にそこで最初のギグを手に入れました。メインショーは8時45分に始まっていたので、木曜日の午後6時から8時または8時30分まで、クラブでジャンニ(オーナー)のためにハッピーアワーでピアノを弾いていました。 

数年間それをやった後、次は毎週火曜日にDavid•BergerのSultans of Swing というビッグバンドで歌い始め、それが私の最初のプロとしてのレコーディングになり、その時代の私にとって頂点になりました。そしてそれ以降は日曜日のハッピーアワーに移動して演奏していたんです。

そうやってバードランドの早い時間で演奏し続けていましたが、2020 年に初めてメインショーへの出演ができたんです。

その最初のメインショー出演を果たした時に「あぁ、ここでクリフォード•ブラウンやルー•ドナルドソンのようにライブ レコーディングできたらなぁ!?」って思ったんです。

BD: それは、2020 年にパンデミックが始まる前ですか、それとも後ですか?

CF: あなたは覚えているかどうかはわかりませんが、ニューヨーク州のクラブは2020年の12月から週に約5日間、集客率25%で営業再開を許可されたんです。私は運良くすでにバードランドでのその週の契約をすませていたので(パンデミックが始まる前に)問題無く出演できて最高でした!

そしたらオーナーのジャンニから「2021年のクリスマスもやらない?」って言われたんです。私は「最高だわ!」って。

結局2021年は8月に3日間、12月に5日間の公演となって、私のメインショーへの昇格は2021 年に達成しました。そして昨年2022年は9月、12月というようにメインショーのレギュラー出演アーティストとなった私のバードランドでの地位は確定して今年へと続いています。

BD: その結果がこのニューアルバム『Meet Me at Birdland』となって、4 月 7 日にリリースされ、それを祝い広めるために Birdlandで5月28日に特別コンサートをやるわけですね。

ところで僕は去年の9月、Birdlandでの4日間を全部通して聴いていたんですが、あなたがほとんど1曲も繰り返した曲が無い⁉︎というのに驚かされましたよ。

CF: みんなそういうふうに言いますね。でもどうだったかあまりよく覚えていません。 

しかしそれは私のオリジナルトリオだからできる事だと思います。ドラムはフクシ•タイナカ、ベースはヒデ•タナカのトリオで2004年か2005年頃から一緒に演奏をしています。

BD: 特にまだあなたのような年齢の人が同じトリオでほぼ20年間一緒にいるっていうのは非常に長い期間ですね。それはどんな感じなんですか?

CF: 私にはデビット•ウィリアムズ や ルイス•ナッシュ など他のリズムセクションとの録音も色々あります。 断続的に他のバンドやメンバーと演奏することはありますが、フク、ヒデ、そして私は、同じ音楽的アイデアや価値観を持つ真の関係を築いているので、常にお互いに惹かれ合っているんです。 私達はいつも一緒に演奏することがとても好きなので、結果的にとてもたくさんのレパートリーを持つことになったんです。

BD: それが1 曲も繰り返さないで4日間できる理由なんですね。

CF: そう思います。 彼らはとてもクリエイティブで私はこのトリオ自体が楽しいんです。 

普通、私がピアノを弾いて歌って、ベースとドラムは伴奏としてずっと付いてくるだけなんですが、ヒデとフクの場合は、いつも私がリードしているわけではなく、インタープレイとなって私が彼らを追いかけていく、という場面もあるんです。私はそれがとても好きなんです。

BD: 新しいアルバムでのその良い例は、あなたのオリジナル曲「Happy Camper」です。 そのスイング感で瞬く間に夢中になってしまいました。僕はこういうスウィング感が大好きなんです。 

それとこの曲のタイトルと演奏の内容がピッタリ一致していますね。ハッピーサウンドいっぱいの曲です。 

またこのアルバムには、「I Don't Care」という9 分間にもおよぶインストゥルメンタルをフューチャーした曲がありますが、これはどういう曲なんですか?

CF: それは偉大なジャズピアニスト、レイ•ブライアントが書いたブルース曲です。 ジュニ•マンスがその曲を演奏するのをいつも聴いていました。 私はジュニアと仲が良かったので、ニューヨークで何回も聴きに行った時、彼はその曲をほんとによく演奏していました。

私はこのマイナーブルースが大好きで、ここ数年この曲に夢中になっています。 みんな、「9 分もあるよ。それ全部レコードに入れちゃうの?長すぎない?」って言うんだけど、「もちろんよ。編集無しで全部入れるわよ」っていうのが私の返事。

BD: そうですね、なんと言ってもやっぱりライブレコーディングですからね。

CF: ジャズのレコードにはすごく長い曲が入っている場合もあるでしょ。私は本当のジャズレコードのようにしたいんです。

BD: その気持ちは分かります。  LP 33 1/3 の出現以来、あなたのようなミュージシャンはそれを要求してきましたよね。 特にこのようなライブでの録音では、本当に自分のやりたいことをするべきですよね。

CF: ヒデが「I Don't Care」で素晴らしいベースソロを披露しているしね。

BD: フクとヒデとのインタープレイは、僕にはもう一人の素晴らしいピアニスト、マリアン•マクパートランドを思い起こさせます。マリアン•マクパートランドは、ジャズシーンで最初の女性の一人です。70年前、彼女はベーシストのビル•クロウ、ドラマーのジョー•モレロとあなたがやっているのと同じような感じで、52番街のヒッコリー•ハウスで長年演奏していました。

あなたもそのようにこのまま長い間、同じメンバーでやっていく予定ですか?

CF: ええ、そうだといいと願っています。 バンドそのものの音を創り上げる事にとって、ある特定の仲間達とのアンサンブルを長年やるというのはとても重要です。ひとつのバンドで息のあった人達と長年一緒にやっていれば、その中でお互いに成長し、学び、発展していく事ができると思うからです。 常にバンドメンバーを変えていたり、自分のバンドが無かったり、どういうバンドにしたいのか?というコンセプトが無ければ成長は難しいですよ。

BD: そのようにあなたはこの2 人のミュージシャン達と長年一緒に演奏してきていますが、たとえば明日の夜にバルセロナで予定されている演奏では、別のミュージシャンとの演奏になるわけですよね。 

現在、ヨーロッパ ツアー全体で同じリズム セクションを雇っているのですか? それとも場所によって異なるベーシストやドラマーがくるわけ?

CF: それは私がどこにいるかによっても異なりますが、私としては少なくとも数週間はリズムセクションを維持して一緒にツアーをしたいですね。今私はイタリア、ドイツ、オーストリアを周るツアーを終えたばかりですが、ずっと同じリズムセクションでした。 

スペインでもフランスでも同じリズムセクションで、実はブリュッセルでも同じリズムセクションです。 

たとえ常に一緒に演奏していなくても、バンドとしてのコンセプトが残っているのは良いことだと思います。 彼らは私が演奏したい曲を知っているし、また私も彼らのやりたい曲を知っている。そうやって我々は我々のレパートリー増やしていくんです。

BD: それでは、例えばそのメンバー達とは2週間だけ、というような状況でもステージで毎晩グルーブするのは簡単だと思いますか?

CF: そうあるべきですよね。それは当然の考えです。しかしツアーでほとんど毎日続けてプレイしていると、やはり日によっては少しずつ違いますね。疲れていたり、サウンドチェックがうまくいかなかったり、みんなが何かばかげたことについて議論していたり​​。。。でも、いったんステージに上がったら「さぁ、やるわよ!」って感じにならなきゃね!

BD: さて、過去 20 年間がどのようなものであったかについて話しましょう。 結局のところ、今月は「Women's History Month 」で、あなたはこれからの未来に向けての音楽の歴史作りを代表している世代のわけですから。

過去20年間、どのような経験をしてきましたか? 特にこの5 、6 、7 年と大きく変わってきましたよね。

 CF: ええ、確かにジャズシーンは大きく変化しています。 

でも私がニューヨークにもう20年もいるなんて信じられない、ショックです。

BD:そう、時間ってすっ飛んでいきますよね。

CF: うん、とっても早い。 

ニューヨークに引っ越して来た当時、もう今は亡くなってしまっている人も含め、伝説的ジャズメン、ジャズヒーロー達と本当に良い関係と友情を築くことができて私はとても幸運でした。もちろん全員とではありませんでしたけどね。

でもルー•ドナルドソンとは今でもとても仲良しです。 彼はちょうど96 歳になりました。私は彼からも多くの事を学び、ここ(ニューヨーク)のコミュニティの一員になれたと感じています。これは私にとってとても幸運なことです。 それは私の夢、それが私がオクラホマからニューヨークに出て来た理由で、私がやりたかったことです。 私はここのジャズコミュニティの中に入れた、という事をとても愛しています。

そして過去5、6年から今までは素晴らしいものになりました。私は達成したかったことを達成していて全てについて気分は最高!

BD: あなたのような若い女性にとって、ニューヨークに来た当初と今とで違う点はなんだと思いますか?また5、6 年前と今とではどうですか?

CF: それはあまりよく分からないけど。。。 きっととても長くニューヨークジャズシーンにいたからだと思います。 私は長い間ここにいて、色々な人達と知り合って、わたし自身も周りも変化しているのかもしれませんが。。。でも今だにこの世界は根本的に男の世界ですね。

しかしその中でも私は運が良かったんです。 私がニューヨークに出て来た頃、フランク•ウェス、ルー•ドナルドソン、ジミー•コブ、ルイス•ヘイズなど歳上世代は、私にとてもクールでした。 私が女の子だったからといって、彼らが私を特別に扱っているとは感じませんでした。 彼らは私をちゃんとミュージシャンとして扱ってくれ、それは私に多くの自信を与えたと思います。 まるでニューヨークジャズシーンの内側から私を守ってくれていたようです。

BD: 私はあなたよりも少し長くこの世界に生きてきて、あなたが生まれる前からこの音楽を放送してきましたが、私が常に持っている理論とは「スウィング」に実際性別は存在しないということです。 できるか、できないかのどちらかです。 

僕と僕の妻があなたをバードランドで初めて見た時、僕は妻の耳元で「チャンピアンの右手は彼女のものだけど、左手はエロール•ガーナーかそれともアール•ファーザー•ハインズだね」みたいなことを言った記憶があります。もしあなたのその左手がそのような音を出せるのなら、という意味でね。

とにかく僕が言いたかったのは、ジャズは演奏できるか、できないかのどちらかであるということです。性別や年齢は問いません。 あなたはそのあるものを持っているなら、あなたはそれができるし、もし持っていない場合は生活のため他の何かを見つけるでしょう。

CF: ええ、同感です。 結局はそういう事。要するにあなたはミュージシャンの一員であるか、そうでないかのどちらかです。

© Champian Fulton